八重洲FT-100(D)送信スプリアス調査
ヤエスFT-100(D)はJARDにより「機器単体で新スプリアス規格適合機器として保証が出来ない機器」とされてゐる。この機種1台について送信スプリアスを測定したところ16測定点で不合格となつた。HF帯スプリアス領域の不要発射の強度は舊(旧)基準40dBの減衰比を満たしてゐるものの50dBには至らない測定点がある。430M帯では60dB未満のスプリアスも観測された。特に対策が困難であるのはVUHF帯A1A信号の帯域外領域である。52MHzでは50M帯アマチュア帯域内に基準を超えるスプリアスが発生する。3.8M帯J3E信号は音声信号による変調成分が広がり、信号近傍のスプリアス領域で基準を超える。外付機器による対策ができないか困難なものがあるため、FT-100を現行基準に合格させるには相当の手間が掛かる。
- 試験点数
1.9M帯から430M帯まで電波型式ごと51点について試験を行つた。A1A信号の測定はキーイングせず連続送信状態で行つた。各帯域を指定周波数の1点にて測定する豫定であつたが、広帯域の50M帯、430M帯は不合格の項目があつたため一部を除き測定周波数を上中下に拡大して測定した。 - 試験個体製造番号
0N16****
本個体は50W機である。 - 不合格箇所
51測定点の内16点で不合格となつた。不合格の測定点を下表の赤印に示す。
不合格要因を集約すると下記の通り。
5番に類似する事象として「RJX-601のスプリアス」を挙げる。
- 不合格状況
- VUHF帯A1Aモード帯域外領域
435MHz A1A信号帯域外領域 スパン2.5kHz
搬送波近傍の位相雑音が大きく60dB以上の減衰比が得られない。
- SSB変調成分の広がり
3.8MHz J3E信号 帯域外領域の上端からfc+250kHzまで
測定帯域下端に見られる強い雑音は変調による。この後チャンネルパワー測定を行ひ10kHz当りの値を測定するが不合格。
- その他要注意周波数
3.8MHz A1A信号 fc+250kHzから30MHzまで
搬送波の+310kHzにスプリアスがあり基準値すれすれ。